FC東京の試合を観るようになって、気付けばもう10年以上が経過していた。
最初の観戦は2009年5月2日。
なんとなくサッカーが観たくなって、高校の同級生の東京ファンに声をかけ、味スタに連れて行ってもらった。
高校がスタジアムの近くにあったため、同級生には何人か東京のファンがいた。
今まではそれぞれ試合を見ていたが、その日はみんなでゴール裏に集まって一緒に観戦した。
鮮烈に覚えているのは、キレキレの石川直宏選手のハットトリックと、仲間とフットボールを見ることの楽しさ。
飛び跳ね、歌い、ゴールが決まれば同級生と感情を露わにして喜び合う。これほどにも昂る瞬間があるのかと、たったの90分間で僕は魅了された。
そして、これがきっかけで同級生の東京ファンのグループで試合を見るようになった。
仲間で見るようになって最初のタイトルマッチは2009年11月3日のナビスコカップ決勝。
東京、2度目のカップウィナー。
西日の眩しいホーム側のゴール裏、酒なんて飲まなくても僕たちは情熱に溢れていた。
あれから11年が経った。
大学入ったり、就職したり、それぞれの道を進んで、全員が揃うことは中々無いけれども、僕たちは東京をフックにまだ繋がっているし、高校の同級生にしては頻繁に会っている方だと思う。
2021年1月4日 ルヴァンカップ決勝
このシーズン、新型コロナ感染症のせいで応援ができないスタンドは非常にストレスフルだった。拍手でしか表現のできないスタンドは、まるで子供の頃に無理やり連れて行かれたクラシックコンサートのようで、感情のやり場の無い感じがなんともむず痒い。
中断からの再開後、一人でスタジアムに足を運んだが物足りなさを感じ、転職したこともあり、スタジアムから足が遠のいていた。
チャントを叫び、ゴールが決まれば抱き合う。フットボールとは、非日常のハコの中で感情を爆発させること、僕はこの魅力に取り憑かれていることを再認識したシーズンであった。
久々の決勝、指定席だから席はバラバラだけど、高校時代に一緒に試合を見ていたメンバー全員がスタジアムに集まった。
しかも奇跡的に斜め後ろの席に、当時のメンバーの1人が座っていた。
2度の素晴らしいゴール。
喋ることすら憚られるスタンドだが、ゴール後はやはり抑えきれない。
すかさず後ろを振り返り、興奮でうまく手が重ならないハイタッチを繰り返した。
今までであれば雪崩のように飛んでくる仲間達と抱き合うのだろうが、このコロナ禍ではそうはいかない。
しかし、喜び方の形は変われど、仲間と喜びを分かち合うことは相変わらず素晴らしい。
応援が出来ないのはつまらないと思っていたが、仲間と一緒に観るフットボールはやはり良い。
試合後、仲間で集まり新宿方面に歩いて帰った。
高校時代、わずかな電車代をケチるために千駄ヶ谷から新宿までの二駅をみんなで歩いて帰っていた。
あの時と同じ道を歩いて帰った。
近況報告やら、相変わらずのくだらない話、思い出話。
高校卒業から10年経っても、こうして集まれているのはひとえに僕らの地元にFC東京があったから。
それぞれ人生を歩んでいく中で、全員が集まる機会は減っていくかもしれないけど、節目節目でFC東京をきっかけに集まり続けることが出来るなら、これほど幸せなことはない。