"Someone still loves you"多摩川競艇場へ行ったら見事に競艇にハマった話

ある人は言った「府中は日本のラスベガス」と。

言われてみると確かにそうかもしれない。

もちろんカジノは無いが、府中には競馬場や競艇場があり、駅前には多くのパチンコ屋が存在する。

隣の調布市にも競輪場もあるため、賭け事が出来る場が多いという点で、府中近辺は確かに「ラスベガス」なのだ。

ただ、街の華やかさは本家に遠く及ばないが。

 

そんな「ラスベガス」で生まれ育った私だが、府中市是政にある多摩川競艇場(ボートレース多摩川)には行った事がなかった。

近くは幾度となく通ったが、足を踏み入れたことは無い。

何となく、あの場所の寂れた雰囲気は新参者を拒むようなオーラを醸し出している感じがしていた。

 

一方、府中競馬場には子供の頃から縁があったように感じる。

幼い時は純粋に馬を見に行くために父親に連れられ。

中高生の時には彼女と花火を見に行った。

20歳になるとついに馬券が買えるようになり、成人したことを実感した。早速友達と馬券を買いに行き、初の賭け事の収支がマイナスだったことは今となってはいい思い出である。

おそらく私と同様に、府中で生まれ育った人間は子供の頃の府中競馬場との思い出が1つや2つはあるのではないだろうか。

 

府中競馬場という存在は府中に浸透している。

テレビでは女性も競馬場に行くCMが流れ、府中最大の祭りである「くらやみ祭り」では旧甲州街道を馬が駆け抜ける。

 

「府中といえば?」の問いに対して、大多数は府中競馬場と答えるであろう。

競艇場と答える人間は少数派に違いない。

 

多摩川競艇場は所在地こそ府中市であるが、主催が青梅市であるため、府中市民との関わりが希薄になるのは何となく理解できる。

そんな多摩川競艇場

以前から気になってしょうがなかった。

 

さて、初夢が降りしきる1月12日、私はついに多摩川競艇場に足を踏み入れる。

 

前日に金曜ロードショーで見た「耳をすませば」での中学生の恋愛模様にすっかり影響を受け、ピュアな気持ちを引きずったまま、私は多摩川競艇場の門をくぐった。

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古めの建物、漠然と広いコンコース、高い年齢層、男性ばかり、寂れた雰囲気。

一瞬でピュアな気持ちは緊張感に変わる。

 

舟券の買い方がわからず、友人と話していると老人に話しかけられた。

早速絡まれたと思いながら返事をすると、舟券の買い方を教えてくれた。

どうやら1レース目は1号艇が堅いらしい。

意外にもフレンドリーな始まりに拍子抜けした。

 

舟券を買い、席を探す。

2,3階は自由席で暖房も効いていた。

寒い中、外で観戦するつもりでいたが、これなら凍えずに1日楽しめる。

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ガラス張りで清潔感のある造りで、今まで抱いていた寂れたイメージが払拭される。

 

いよいよ1レースが始まる。

ファンファーレと共に6艇が飛び出し、コースを決めるための待機行動に移る。

3対3の隊形になり、内側の3艇がスロースタート、外側の3艇がダッシュスタート。

6艇が綺麗に横一列に並び、目の前を通過する。

そして、最初のターンへの飛び込み。

インを死守する1号艇と、そのインを切り裂く「差し」や外から全速力で抜き去る「まくり」を狙う艇との攻防に思わず息を呑む。

ターン進入のライン取りが奥深い。

 

競艇はギャンブルでもあるが、「水上の格闘技」と呼ばれるモータースポーツであることを実感する。

水上を跳ねながら、時にはぶつかり合いながら進むボートに胸が熱くなる。

とにかくレースだけでもかなり楽しい。

(もちろん賭ければさらに楽しい)

たったの1レースですっかり魅力されてしまった。

 

結果は1-6-3。初めて買った舟券は当たっていた。

予想が当たり、1レース目から競艇の楽しさを知る。

競馬とは異なり、6艇のレースなので的中する確率は高い。

 

この日はファン感謝デーということもあり、アイドルのライブもやっていた。

翌日は俳優の田中圭もゲストとして来ていた。調べてみると普段のレースからイベントを行っているようだ。

この日もアイドル目当てと思われる客層を何人も見かけた。

アイドルのライブを見た話は気が向いたら別の記事で書きたい。

 

喫煙所でひとりタバコを吸っていると、さっきとは別の老人に話しかけられる。

「当たってるかい?」

随分とフランクである。

初めて競艇に来たことを素直に話すと、昭和の競艇の事まで教えてくれた。

昔はぶつかってでもコースを取りに行くことが多々あったが、今はぶつかり合いは減った、と競艇歴50年の老人は語る。

次のレースは1-4が来ると自信満々に説明してくれた。

 

一緒にタバコを吸いながらそのレースを見た。

結局1号艇は最初にまくられ、4号艇は差し切る事ができず、老人の予想は外れた。

悔しがり、目の前で当てた別の観客に話しかける老人を横目に、私の三連単が当たっていた事は黙ったまま、そっとその場を去った。

 

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You had your time, you had the power
君は一世を風靡した。君にはその力があった。
You've yet to have your finest hour
君の時代はこれからなのだ。
Queen "RADIO GAGA"

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若者の○○離れとよく言うが、競艇も高齢化が進んでいるように見受けられた。

年々来場者は減少し、来場は高齢者が大半だ。

 

26歳である私はまだ若者の部類に入るが、1日楽しんだ感想として、是非モータースポーツに興味がある若者へ競艇を一度オススメしたい。

 

ターンでの攻防は一見の価値がある。

最前線で観戦すれば目の前を通るボートの迫力も楽しめる。

イベントがある日はアイドルのライブもある。

多摩川競艇の入場料は100円。

多摩川競艇場だけでなく、全国24箇所に競艇場はある。

車やバイクのレースに比べれば格安で観戦が出来る、お得なモータースポーツである。

デートで行く雰囲気ではないが、野郎同士で1日遊んで酒を飲むにはちょうど良いスポットではないか。

 

 ボートレース多摩川 URL

ボートレース多摩川 スマートフォンサイト:トップページ
ホームページ内にレースのリプレイ動画もあります。

 

おそらくオートレースや競輪(いずれも未経験)を見た後も同じような感想を述べるかも知れないが、ひとまず競艇が楽しかったことを伝えたくて長文を書いてしまった。

 

"Someone still loves you"

ニワカファンとして、そっと競艇を応援したい。

 

競艇はあくまでもギャンブルです。賭け金は無理のない範囲で楽しみましょう。筆者はオススメしてるくせに収支はマイナスでした。

また、20歳未満の方の舟券の購入は法律で禁じられています。